パリ旅行2日目 カレ邸見学

14日(土)
ホテルの壁が薄く、左隣に宿泊している日本人の女の子達の話も聞こえるし、右隣のカップルの夜の営みも筒抜けという漫画のような状況に深夜まで悩まされるも朝8時に起床。ホテルで食事を摂ってからモンパルナス駅でMTOさんと合流。今日の目標はAlvar Aaltoが設計したカレ邸(Maison Louis Carre)の見学。こちらも一般公開はしていないので事前にメールでの予約が必要。
Maison Louis Carré

この家は非常に田舎にあるのでバスを一本乗り過ごすと大変なことになるのでドキドキ。とても行きにくい場所にある住宅だけど、行き方を丁寧にまとめている方がいて大変参考になりました。
http://marukun.jimdo.com/%E3%82%AB%E3%83%AC%E9%82%B8%E3%81%AE%E8%A1%8C%E3%81%8D%E3%81%8B%E3%81%9F/

駅でチケットを購入し、近郊列車RER Cで終点のSaint-Quentin-en-Yvelinesまで向かい、本数の非常に少ないバスを待っていると向こうからやってくる3人組にMTOさんが「わー」と反応。同じ事務所の同僚達がたまたま同じ日に見学に行くことになっていたのだ。5人になった我々一行は色々話しながらバスへ乗り込み30分ほど田舎道を揺られる。バスの運転手は(当然のように)英語が通じず、僕達が行きたかった住宅をMaison Jean Monnetと勘違いしていたようだが、カレ邸とJean Monnet邸は隣接しており事なきを得る。ちなみにJean Monnet氏はEU統合の父とされる政治家で、カレ邸の隣の家に住んでいたようだ。

白いフェンスでできた入り口を抜けると緩やかなカーブが美しいエントランスアプローチが続く。

雑木林を抜けるとカレ邸が佇んでいる。

アートディーラーとして大成功した実業家であったCarre夫妻の自邸として建設され、夫妻が大ファンだったアアルトがフィンランドより足を運んで設計を進めた。ワイン畑であった敷地の緩やかなスロープに従った傾いた屋根を持つ住宅は見る角度によって印象が全く違う。

雨樋も彫刻的に扱っていてカッチョイイが、しかし設計期間は僅か半年しかなく、時間がタイトだった為に住宅のディテールの大部分はアアルトが既に他のプロジェクトで使ったデザインの転用となっているようだ。

現在この建物はアアルト財団が管理しており、内部は全面的に改修されオリジナルの状態になっている。照明や家具も全てアアルトデザインのもので、まさにアアルト尽くしといった感じ。しかし形容しがたい「あれ?」という感覚が自分の中では残った。どれもきちんとデザインされ(特に外観は文句なし)、とても素敵な家だとは思うのだが、内部の空間には突き抜けたモノが無いようにも思えた。クライアントであるカレ氏が足が悪く、あまり段差を作れなかったというのも一因かもしれないが、名建築に特有のふわりとした回遊性が感じられなかった気がする。まあこれは個人的な感想だけど。

とはいえ総合的には大満足で見学を終え、本を物色し購入。それから帰りのバスに向かおうとすると、発車まで5分しかないことが判明。家からバス停までは走っても5分以上はかかる。しかもこのバスを逃すと次のバスは2時間後。困ったなーとツアーガイドのおばさんに相談すると、「急いで私の車に乗りなさい!」といって僕達を乗せてバス停まで車を飛ばしてくれる。とっても親切な方で大感謝。お陰で何の問題もなくバスと電車を乗り継ぎパリに帰還。

折角なのでということで5人で飲みに行く。しばらく飲んでいるとMTOさんの友人で日本からフランス旅行にやってきたNAOさんが合流。パリらしく道端で皆でわいわいと楽しんでいると、散歩中の犬がベロベロしてきたりした。

22時頃解散となり、僕、MTOさん、NAOさんはタクシーでMTOさんのお宅へ。広く綺麗な自宅でパスタとワインをご馳走になり、すっかり酩酊して24時過ぎに地下鉄でホテルに戻る。