Wakefield

8月だと言うのにシェフィールドは非常に寒い。CCが暖房をつけてくれた。朝9時過ぎに起床。ハムとチーズを挟んだクロワッサンの朝食を作ってくれる。何故かTVでNHK internationalが映るので見てたら首相が変わったことを知る。まあ誰がやろうが同じなのでどうでも良い。それより許容放射能量の基準値を引き上げるという話にぶったまげる。基準値を今までと同じにしていたら東北に住めないくらい事態が深刻だということだろう。しかし何を考えたらこんな蛮行ができるんだ。頼むからこれ以上国際社会で恥をかかさないでほしい。これじゃ中国以下の文明レベルじゃないか・・・
(さっきネットで探してみたけどそんなニュースはないっすね。でも確かにニュースでそう言ってたと思うのだが。。。)

9時45分に野沢菜くんと待ち合わせ、3人で電車に乗りWakefieldへ。カテドラル以外には特に見るものもない悲しい雰囲気のある寂れてしまった工業都市だが、ここの町おこしの為に作られたのがwakefield hepworth。イギリスを代表する彫刻家バーバラ・ヘップワースの出身地であることを記念し、今年の5月末にオープンしたばかりのチッパーフィールド最新作だ。

斜めに切られたコンクリートの塊がくっついているような構成。遠めに見ると灰色のように見えるが、実は深紫色のコンクリート。何故この色なのかは分からないが、普通のコンクリートよりもやや重厚な印象。緑とまざり水面に映る姿はとても美しい。建物の背面は川に浮かぶように建てられているが、大丈夫なのかとちょっと心配になるほど川の水がガンガン当たっていた。こういう建築は法規的に日本では可能なのだろうか。

外観も中の仕上げもとても綺麗で、文句なしの出来栄え。上手いという他ない。手を入れるところと抜くところのバランスが実に良い。1階のパブリックな空間は2m程度の位置で黒いパネルを全周にまわしているが、これが本棚になったりロッカーになったりする。他の場所はおそらく収納。床はコンクリートのパネルで、この階は比較的に安めにシンプルに仕上げている。2階は全て展示空間で、階段室を中心に周囲を展示室が取り囲むというお手本のようなプランだが、一つ一つのブロックが微妙に歪んでいることで、空間にダイナミックな動きと繋がりが生まれている。恐らく全く同じコンセプトだがブロックを全て四角で統一したターナー・コンテンポラリーも体験して比較してみたい。

ただ個人的に一番感動したのが2階の床の仕上げ。(展示室同士の間には継ぎ目があるが)室内は一切継ぎ目の無いコンクリート。この床が空間全体のアブストラクトな空気を作っていると思う。どうやったらこんな綺麗に打てるのだろう。細かい収まりも綺麗。展示室間の距離を大きく取り、防火ドアをぴったり収納できるようにすると同時にサービス類を収めている。まあこの手法も含め、一個一個のデザイン要素自体は決して真新しいものではないのだが、全体としてこれだけ綺麗にまとめてしまう力に脱帽。この人は本物だ。

他にめぼしいものはなかったが、この美術館を見れただけで大満足。18時半の電車で倫敦へ帰る。
これにて夏休み終了!