4連休後半

6月3日 日曜
Diamond Jubileeというお祭りで英国は火曜まで4連休。ビクトリア女王の即位60周年記念なのだ。
早朝より月初めの日曜だけ開いているChiswickのカーブーツセールを見に行く。しかし生憎の雨で出展者も来場者も非常に少ない。全体的にあまり目ぼしいものは見つからなかったが、僕はパイを作るときに空気を抜く為に使う(らしい)ペンギンの形をした陶器を購入。それから隣接するChiswick ParkにあるCaruso St John設計のカフェでお茶。クラシカルで綺麗な空間。

地下鉄でHyde Parkへ移動し、昨日から公開された今年のサーペンタイン・パビリオンを見に行く。Herzog and De MeuronとAi WeiWeiのコラボ作品。しかしそういえば、サーペンタイン・パビリオンはもともと英国で建築を建ててない人に実作を作る機会を供給する場だったのではないのだろうか・・・。

今年の作品は地面から1.5mほどの場所に水盤を浮かせ、地下を掘り下げて空間が作られている。敷地を掘り下げることで過去に作られた多数のパヴィリオンの基礎を再発見し、それを再構成することで空間にしようという、いわばサーペンタイン・パビリオンの過去10年の総括的なコンセプト。
Serpentine Gallery Pavilion 2012 by Herzog & de Meuron and Ai Weiwei | Dezeen

知的で面白いコンセプトだと思うのだが、個人的には企画倒れだなと思った。まず水盤は1.5mという微妙な高さなので、場所によっては見えるが基本的に覗こうとしないと水があるのは分からない感じ。そして地下空間だが、毎年綺麗に撤去していたので、いくら掘り下げてもコンセプトの核となる過去のパビリオンの遺物が一つも発見されなかったらしい(笑)
まあコンセプトってのは所詮空間の理由付けであって、できた空間自体が面白いものになっていればそれで良いと思うのだが、肝心の完成した空間もそこまで・・・。それなりに面白いとは思うのだけど、何も突き抜けたものがないのであまり印象に残らない、力の無い空間だった。


それからテムズ川沿いに行って数百年ぶりに再開したというPageantを見ようとする。女王を祝って1000艘ほどの船が川をパレードするというものだが、大変な人で川沿いはどこにも入り込む隙間がない。しばらく歩いて諦め、Pimlicoのパブで休憩。ゆっくりしていたら丁度Pageantが終わったみたいで大変な人出になった。大雨に見舞われたのでしばらくパブで過ごしているとTakさんがやってくる。それからSharisharishariへ出て晩御飯。Kobaで美味しい焼肉を食う。


6月4日 月曜
引越し以降なかなか忙しく過ごしたので、どうも体調が優れない。朝生活必需品を諸々買った後、夕方まで昼寝したら大分調子が良くなった。夕方19時くらいからバービカンでの打ち合わせを終えたコミさん、Takさん、ダニエル、マモル君が僕らの近所のBermondseyの焼肉屋に行くというのでそこまで歩いていく。川の前にあるパブで、何故か目の前に帆船がいたので川に下りてみる。あまり観光では来ることのない場所なので不思議な景色。帆船とタワーブリッジ、後ろにはガーキンも見える。

食事は、なんというか、凄まじかった。コーラがない、韓国料理なのにキムチがない、代わりに出てきたキュウリの漬物は全く漬かっていない、前菜で出てきたムール貝はテムズ川の味がして、スープは生臭くて誰も飲まなかった。しかし肉自体はわりと普通。なんとここは肉お代わりし放題。食い放題。しかしテンションの下がった我々は1皿のお代わりに留まる。それにしても19ポンドで肉食い放題って、何の肉なんだろう。Takさんはダミアン・ハーストの芸術作品”A THOUSAND YEARS”のお下がりではないのだろうかと推測している。あるいは狂牛病の牛か。10年後に我々の脳はスカスカになっているのではないだろうか。

食後にコミさんとダニエルが家に遊びに来る。夜まで建築の話など。
僕の陳腐な話を、本当は全部分かってるだろうに、さも面白そうに聞いてくれるコミ社長の優しさ。


6月5日 火曜
10時ごろ起床。朝食を摂り、家を掃除した後で自転車でTate Modernへ。折角近くに引っ越したのでTateの会員になった。これで一年間Tateの展示が無料で見れる。今日は英国を代表する現代芸術家ダミアン・ハーストの回顧展を見る。正直なとこ全然期待していなかったのだが、予想よりも良かった。最も有名な作品”A THOUSAND YEARS”は牛の頭を切って床に放置。それに蠅が集り死肉を食い、その蠅が上部にある殺虫器で死ぬという一連の流れをガラスの中に作ったもの。あとはサメをホルマリン漬けにしたり、親子の牛を真っ二つに切り裂いてホルマリン漬けにしたもの(内蔵が見える)など、悪趣味の極みと言っていい作品群。しかし蝶の作品は良かった。多分1000匹以上の蝶や蛾の羽をもぎ取り、キャンバスの上に貼ったステンドグラスのような作品は実に美しかった。よくみると本体が千切られた跡があるので近づくとかなりグロいのだが、ゾッとするくらい退廃的な美しさがある。

近くのTescoで買い物したあと夕方から家で食事の仕込み。Meimeiはチキンのハーブ焼き、僕は豚の角煮を作る。フルーツを切ってピムスも作る。19時くらいからMeimeiの昔のフラットメイトたち、ちかちゃんとツヨシくんがやってきて、ガヤガヤ賑やかで美味しい晩御飯。日付が変わった後皆さんバスで帰る。4連休これにて終了。