台北→ロンドン→ベネチア

10月24日(水)
ミーティング最終日。僕はなにか変なものを食べたのか、朝から大変な体調不良。会議の最中に何度もトイレへ行き、食べたものを全部戻してしまう。グロッキーになりながらなんとか無事に16時ごろ終了。ホテルでしばらく寝て少し回復。

18時半にフロントから電話。ロビーに降りると高専の同級生のカネゴンがいた。大学に編入して以降ほとんど会っていないので、7,8年ぶりに再会。僕が台湾に来ている様子をFacebookでみてメッセージをくれたのだ。すっかり立派なゼネコンの駐在さんとなっていた。ボスも交えて日本食の晩御飯。獺祭があったので喜んで頼む。山口の誇る地酒。23時くらいまで話してから解散。同郷の友人と偶然海外で会うというのは愉快なものだ。

10月25日(木)
朝9時過ぎにホテルを出発。飛行機で一路ロンドンへ。機内で映画をいくつか観た。

Runway Cop:韓国のコメディ映画。ひょんなことからファッションモデルをすることになった警官の、ゆるくて楽しい話。
第一次(First time):中国(香港?)の恋愛映画。主演のAngelababyが鬼のような可愛さ。ストーリーはちょっとお話にならない出来だが、彼女を眺めているだけで時間が過ぎる。
晩秋:韓国映画。シアトルを舞台に、お互いに深い悲しみを抱えた中国人女性と韓国人男性の出会いと別れが描かれている。失われていくしかない人生の喪失感を捉えた良い映画だと思う。

20時過ぎに空港へ。22時頃バラマーケットでMeimeiとその友達のNMYくんと合流。我が家でワインを飲む。NMYくんは出張でしょっちゅう来ているそうだが、来年から英国駐在らしい。まだ若いのに随分な大役を任されているようだ。すごいなー。午前2時ごろ解散。


10月26日(金)
朝から仕事。流石に眠い。20時ごろあがり、ラーメン屋の前を通ると見かけた顔が。TakさんとMeimeiと一緒に麺を食らって帰る。


10月27日(土)
少しだけ仮眠をとり、朝3時に家を出る。メチャメチャ寒い。スタンステッド空港に着いた頃には雪が降っており、飛行機が一時間遅れる。なんとか無事に飛び立ち2時間でベネチアへ。こちらは少し暖かい。

最初の目的地はベニス郊外にあるブリオン家の墓地。寡作の天才建築家、カルロ・スカルパの代表作。まずは電車でカステロフランコ駅へ。そこからバスに乗り継ぐ。イタリアは土曜日も学校があるらしく、昼頃のバスは下校中の学生でとんでもない混み具合。運転手に「トンバ・ブリオン?」と聞くと、乗客が皆降りたあとで僕だけの為にバスを運転して近くまで連れて行ってくれた。

木立の間を歩いていくと、遠くに低いコンクリートの壁が見えてくる。なんだろうコレはと思っていたら、明らかにデザインされたコーナー部が見えてきた。見え隠れする内部の緑に期待が高まる。

内部に入ると(裏口から入ったのに後から気づいたけど)怒涛のデザインの嵐。どこへ行っても、何を見てもデザインされつくしており、ここまでやるかと笑いが出てくる。

しかし15分くらい一人で笑いながら歩いているとディザスターに見舞われる。ザワザワと大声で話しながら、カナダの大学の学生達と先生が30人くらいで押し寄せてきたのだ。雰囲気が台無し。まあそれは仕方ないけど、しかしその学生達の節度の無さには腹が立った。墓石にカメラを置いて記念撮影したり、美しくデザインされた石段の上で「おい、変な音がするぜ!クールだろ」とジャンプし続けたり。建築とか空間云々よりも、墓地に対して敬意を払う態度がない。先生らしき人もいるのにそれを注意しない。カナダ人の品位を疑うな。完璧に邪魔されて、建築をみることに集中できなくなってしまった。生憎雨も激しくなり、なんだかとても悲しくなる。

変な悲しみを抱えてバスに乗って駅まで戻り、電車でベニスへ向かう。しかし間違ってベローナ行きの電車に乗ってしまう。車掌さんに聞くと、親切に次の駅で色々調べてくれ、僕の為に電車を5分くらい遅らせてしまう。日本だったら大問題なのだろうけど、当然のように次の電車まで連れて行ってくれ、そこの車掌さんに事情を説明して「そういうことなので、この子をよろしく頼むよ」と言ってから帰っていった。温かい人たちだ。

夜8時ごろベネチアに着く。久々に来たけど、とても美しい街だ。サン・マルコ広場裏のホテルへチェックインして晩飯へ。疲れていたのでホテル付属のレストランで食す。賎しいスタッフと不味い飯とワイン。まあ値段は安いので文句は言えない。一通り周辺を散歩して、深夜に就寝。