シチリア週末旅行 一日目

ご無沙汰しております。少し時間がたってしまったけど4月末の週末はシチリア島に遊びに行って来ました。暖かい(むしろ暑い)けど日陰に行くと涼しい、何とも快適な気候で随分リフレッシュできました。くぼCは何だかイタリアンな感じになっていたけど、良い友達もできて楽しそうに過ごしているようなので良かったです。

27日の土曜の朝は例のごとく早朝6時発の便なので、ほぼ徹夜で空港へ朝4時半着。丁度シチリアでアパートを借りて一週間ほどバカンスの予定だったダニエルと友人達がたまたま同じ便で驚く。着陸前は強風でかなり揺れたが、朝10時にシチリアはパレルモの空港へ無事到着。出口でくぼCと彼女のお友達のVeraが待っていてくれた。
まずはパレルモから南西に向かい、Salemiという丘の上に建つ小さな古い町へ。とても分かりにくい街のようだが、ガソリンスタンドで人に聞くと(といっても僕らはイタリア語はできないのでVeraが聞いてくれたが)親切にスクーターで案内してくれた。ここの野外劇場はFrancesco Veneziaという寡作だが評価の高い建築家の作品なのだ。今は使われておらず廃墟になっていたが、高台に建つ草花で埋められた劇場はそれはそれで素晴らしく良かった。素朴で厳格な美しい構成。

それからそこの近くにあるGibellinaという街へ。もともとのジベリーナはそこから更に山奥に登った場所にあった村なのだが、地震で全壊したために場所を移して街自体を新しく作り直したのが今回訪れた新ジベリーナ。街の再建には優秀な建築家が多く関わっており、建物自体は良いものが多い。Salemiの野外劇場を作ったFrancesco Veneziaはここで小さな美術館を作っている。残念ながら閉館していたけど外から眺める。素材の使い方と光の演出が綺麗だった。

しかし、なんとも寂しい街だ。多くの建築賞を受賞した教会は閉まっていたし、広大で壮麗な広場は子供が数人ボール遊びをしているだけだった。

少し歩きまわってみた範囲では、街の人々の活動は感じられず、都市は計画することはできないということを改めて感じた。都市の魅力はある種の混沌にある。予期していない事象に出会い、巻き込まれるのが都市の煩わしさであり魅力でもある。そして混沌さ、ランダムさというのは本来的にデザインできるものではない。計画されたランダムはランダムではないのだ。プランナーや建築家が街をトップダウン的に綺麗にコントロールしながらつくるというのは本来的に無理がある。ボトムアップじゃないが、とりあえずは建築をきちんとつくるしかないと思っているのだが、ただ良い建築が集まってもあまり街として機能しないというのを目の当たりにするとちょっとぞっとするな。

それからパレルモに戻り、Veraの友人でパレルモに住む法律家の方と合流し、駆け足で街を見学。色々案内してくれたけど、一番印象深かったのは屋根の無い教会。廃墟の中に大きな木が生えているのだが、神聖だけど暖かい、なんとも不思議で特別な空気のある場所だった。

夕方にパレルモを出てMilazzo近くのVeraの実家へ。いきなりで恐縮だったが、ご家族の方と一緒に晩御飯を頂く。クボCは何度も来ているようで随分みなさんと打ち解けていた。自家製ワインなどを頂き楽しく過ごす。夜にクボCの働いている事務所のボス、クラウディオがやってくる。実はクラウディオは僕のボスとも友達なのだ。夜のMilazzoへ移動し彼の改修したホテルを案内して貰う。デザイン云々以前にロケーションが素敵過ぎる。