スロベニア(沿岸部)旅行

木金と休みをとって、ちょうど帰郷している同僚のjernej(ヤルネイ)を訪ねてスロベニアに4日ほど行ってきました。帰りの飛行機が暇で旅行記を書いたので早速あげておきます。面白かったので長いです(笑)

8月1日(木)
昼11時半のフライトで トリエステに14:15分に到着。機外に出た瞬間に強い日差しとむわっと来る夏の気候で、暖かいところにきたなーと嬉しくなる。予定よりも30分近く着いてしまったのでjernejが迎えにきてくれるまで到着エリアで待つが、予定時刻を30分過ぎても彼は現れない。ちょっと不安になった頃に「ごめん渋滞が酷くて」とやって来た。一安心して車に乗り込むと、早速トリエステ近郊のビーチへ連れていかれる。空港を出て30分でビーチ。うーん素晴らしい。泳いだり寝転んだりを繰り返し、三時間ほどして車へ戻る。

しばし山路をドライブし、トリエステの山の中にある小さな村へ。ここでは普通のお宅が交代で中庭を使ったレストランを開いているそうなのだ。jernejは先週イタリア人の友人に連れられて来たらしいのだけど、その時にレストランとなっていた家は閉まっており、新しい家の前庭が会場となっていた。食事は至ってシンプルで、ハムやサラミをスライスしたものとチーズ、パンにオリーブとトマトの漬物(?)。ワインも含めどれも地元で作られたものらしく、素朴で美味しい、嬉しくなる味だった。

食後は一時間ほどドライブしてjernejの故郷であるkoperへ。ここから更にバーに移動し、jernejの幼馴染の皆と飲む。皆親切で結局僕のビールは全部奢ってもらってしまった。ヨーロッパでは結婚する前に男は男友達と、女は女友達と一緒にクレイジーなパーティーをやる習慣があるのだが、彼らの仲間の一人が結婚するので皆でその企画を練っているとのこと。折角なのでhiroshiも一緒にやろうよと言われ勿論快諾。宿泊先は、jernejのお母さんが温泉に保養に行っているので、僕とjernejは空いているお母さんのアパートに泊めていただく。

8月2日(金)
朝9時前起床。今日も素晴らしい晴天。koper市内を少し歩き、jernejの通った学校などを案内してもらう。今は陸続きだがかつては海で隔てられた島に作られた街で、旧市街はその面影をよく保っている。かつてベネチアの植民都市だっただけあり、街並みの雰囲気がどことなくベニスと似ているよだった。また重要な古い建物には大抵ベネチアの獅子の紋章があった。

旧市街の中心は市庁舎と教会に囲まれた広場になっており、そこでマキアートとクロワッサンの朝食を摂る。

大聖堂の中に入ると、Jernejが「あれが本当の昔のガラスだよ」と教えてくれる。かつてガラスは息を吹いて膨らませて作るものだったので、四角く平板に出来るものではなかった。大きなガラス窓が必要な際は丸ガラスをつないで作っていたのだという。

再び少し市内を散策してからizoraとpiranの間にあるビーチへ。車を停めてから断崖絶壁の隙間に作られた小さな歩道を降りて行いかないと辿り着けない場所で、ボートを持っている人以外にはあまり知られてないスポットらしい。緑の小道を抜けていくと時折素敵な光景が見え隠れする。

人は少なく水はとても澄んでおり、素晴らしい場所だった。海に潜るとカチカチと小さな破裂音が常に聞こえるので何かと思ったら、海底の小石達が波で揺れ、当たって音を立てているそうだ。スロベニアからクロアチアにかけての海岸には基本的に砂浜のビーチはなく、ほとんどは石と岩の海岸だそうだ。この海水の透明度は砂が混じらないからなのかもしれない。何しろ5mくらいの深さがあっても底が見えるのだから感動してしまう。

4、5時間泳いで昼寝してを繰り返すと体が真っ赤に。こりゃいかんと木陰に避難したがすでに遅し、ロンドンに帰るまで痛みと痒みに悩まされることに。しかし素晴らしい時間だった。

海から上がってからはpiranを散策。かなり有名な観光地らしく、今回の旅で唯一アジア人を何人か見た。街は基本的に自動車の乗り入れができないようになっており、海岸沿い全体が歩行者天国かつ海水浴場となっていて、とても楽しい感じだった。日が当たるところを歩けば灼熱だが、日陰にいれば程よく風があり最高に心地よい。歩いて汗をかいたので、まずは海辺のバーでモヒートを飲む。最高に心地良い。

街の所々に広場があるが、ここにもベネチアの影響が。海に突き出しており地下水脈がない地域なので、かつては広場頃に雨水を貯水し、それをくみ上げて利用していたようだ。地面に開いた取水口。

Piranの街は半島状になっており、付け根の辺りに中心となる大きな広場がある。ここはかつて車のロータリーと駐車場になってしまっていたのだが、海を埋め立て街の外に駐車場を設け、この広場を再び歩行者のための空間に戻すことで市内のイメージを一新することに成功。今ではスロベニア沿岸部で最も有名な観光地なのだとか。広場に面した可愛いお店で、この街の近郊の名産品である塩を購入。

Piranからさらに南へ向かうとすぐにスロベニアとクロアチアの国境だが、この国境地帯には敷地の境界が見えないほど大きな塩田が広がっている。ここではローマ時代から生産を続けているとのことだ。

塩田とJernej

そこを南に下ったところにあるRibicという有名らしいレストランで夕食。沈む夕日を見ながらタコのサラダとシーフードのパスタを美味しくいただく。


色々寄り道していたので僕はkoperからpiranまで2時間はかかるかと思っていたのだが、真っ直ぐ帰ると僅か2、30分だった。一応koper, izora, piranという3つの異なる街があるのだが、沿岸部の人たちにとっては3つで一つの街というイメージらしい。
再びJernejの友人たちの飲み会兼企画会議に呼ばれていたが、僕は疲労困憊で先に休ませてもらう。jernejは夜1時ごろまで話し合っていたようだ。

8月3日(土)
朝は寝坊し10時半ごろ起床。jernejは11時ごろ起きてきた。今日は例の結婚前パーティー当日で、朝は少しその準備をしてから12時ごろ出発。海岸沿いのピザ屋でツナピザを食す。旨し。

14時ごろ市内に戻り、jernejの友人宅に集合し最後の作戦会議。手順をチェックしてから僕を含め4人の先発隊が車で出発。パーティーの筋書きは、まずマニュエル(結婚を控えた今日の主役)を拉致するところから始まる。マニュエルの自宅の駐車場で、僕以外の人は強盗とかがつける黒い目開き帽を装着。タトゥーの入った屈強な東欧の男性がそんな格好でいるのだから僕がみても怖い。彼らを引き連れた僕がマニュエルのドアをノック。昼寝をしていたのか裸のマニュエルが出てくる。勿論僕とは初対面。何だこいつはという態度の彼に、僕は朝準備した任天堂からの手紙(もちろんフェイク)を見せながら「あなたが当社のゲームを違法コピーして使用しているという通報があり、懲罰にきました」といった内容を日本語でまくし立てる。

完全に混乱した彼がドアを閉めようとしたので「do you speak english?」と英語に切り替え同じ内容を言ったあと、「take him out!」と叫ぶ。すると僕の後ろに隠れていた覆面の男たちが突然襲いかかり、無理やり目隠しをして腕をくくり運び出す。

とはいえ実は真摯な彼らは部屋をチェックし戸締りを確認、泊りがけの祭りなので着替えも運び出す。僕はその間目隠しで何も見えないマニュエルに「こいつはトランクに詰めるにはデカすぎるな、先に足を切っちまうか」などと言って脅しておく。荷物などを運び出してから、部屋から盗んできたマニュエルの車の鍵を使い彼の車で市内に移動。わざと目茶目茶な運転をするのだけど、目隠しをしていない僕の方がビビってしまう凄い運転だった(笑)
市内を引き回してから小さな路地で他の皆と合流。マニュエルを取り囲み、いきなり大声で彼の名を叫びながら目隠しを取り、皆で一通り笑う。それからシャンパンを開けて乾杯。僕もそこでようやく自己紹介する。

しかしイベント(懲罰)は始まったところ。まずマニュエルの服を剥ぎ取り、処刑へ向かうキリストの格好(腰布と十字架)をさせる。それから60歳以上の女性を捕まえてスロベニアで唯一のsex shopの前で写真をとってもらう、街の子供の食べてるアイスを盗んで食べる、道ゆく人からコンドームを貰う、「キス一回20セントで売ります」という看板を下げて2ユーロかせぐ(つまり10回キスする)などといった滅茶苦茶なタスクが続くが、驚いたことにそれを全てこなしていくマニュエル。というのも実はこの街の人はこの手のパーティーに慣れているようで、「結婚式はいつ挙げるの? お幸せにね!」といいながら受け入れてくれるのだ。温かい習慣だなーと僕は感心したが、これには企画を考えたjernej達も驚いていたようだった。

彼らが卒業した小学校の前に着くと、予め仲間が準備していた机と椅子が置いてあり、そこで即席の小学校が開校。一人一人が先生になり、マニュエルに数学や物理など色々な問題を質問してゆく。hiroshiも何か質問したらと言われたので、アルキメデスのユリイカの問題を出して見る。

「昔々、ある国の王様が王冠を作りました。ところが家来が「この王冠は純金ではないのではないか」と疑います。冠の職人は「滅相もない、もちろん純金です」と言います。さてあなたはどうやってこの冠が純金かどうか確かめますか?」

有名な話なので(特にヨーロッパの人は)誰でも知っていると思うけど、空気を読んだマニュエル生徒は「分かりません」と言って更なる罰を与えられていた(笑)

僕とjernejは夕食の約束があったので19時ごろ一旦別れ、カフェでアイスを食べて休憩してから海で少しだけ泳ぎ、izora市内の公園傍のレストランへ。スロベニア名物の肉料理をぜひ食べなさいと言われたので行って見たのだ。alanというjernejの幼馴染と一緒に色々話しながら夕食。親指大の大きさにこねられた肉のグリルをオニオンベースのソースと一緒に食べるものだが、これも素朴な味で美味しかった。

食後はマニュエルのパーティーのために2日間貸し切ったという山の中にある狩猟クラブの建物へ移動。周囲には何もないので大音量で音楽と映像を流しながら皆で楽しく飲んでいると、本日最後のサプライズ、このために特別に雇ったというストリッパーの女性が登場。ちょっとここで書くのは差し控えるレベルのパフォーマンスを見せてくれて、みんな爆笑&大喝采だった。宴は朝まで続くようだったが、僕らは深夜2時ごろ失礼する。

8月4日(日)
短くも濃密だった旅行も最終日。昼過ぎのフライトなので今日は何処にも行かないことにしており、朝9時半に起きてjernejと一緒にカフェで朝食をゆっくり摂る。jernejは僕たちがスイスで進めている仕事の為に月曜にドイツの行くのだが、その前に家族に会いに行くということで朝食後に別れ、僕は彼の妹さんに空港まで送ってもらう。渋滞もなくスムーズにトリエステの空港に到着し、無事にロンドンへ帰ってきた。

日焼けというより火傷にちかい状態になった皮膚は痛いけど、実に面白い充実した4日間だった。jernejは全部世話してくれた上、厳格なベジタリアンなので自分は肉も魚介も一切食べないのだが、僕のために初日はハム、二日目はシーフード、三日目は肉の有名な店に連れて行ってくれた。感謝感謝です。