さよならとはじめまして

3月28日(金)
金曜はボスが台湾より帰ってきたが、帰国早々にタフなミーティングが入っており、疲れとストレスで大変不機嫌な状態で事務所へやってくる。他の仕事の話し合いで忙しそうだったので僕は自分のプロジェクトは見せず。19時にあがり、急いでSt Pancrasのレストラン、ギルバート・スコットへ。コミさんとご両親、ショーゴでコンペの打ち上げ。だが最初にコミさんより「残念ながら落選しました」とのお知らせを受ける。まあ仕方ない。

美味しい食事とワインを頂きながら、建築家であるお父さんより、どのように自分の建築事務所を設立し、どう運営してきたかなどのお話を聞かせていただく。「20年以上(事務所を)やってきたけど、3ヶ月先の見通しが立ったことは一度も無い。一寸先は闇だけど、でも今まではどうにかなってきたし、だからこれからもどうにかなる。そう思うしかないんです。」と笑いながら、でも自信を持って言われていたのが印象的だった。

コミサンとは多分これで当面お別れ。ロンドンに残るものとしては寂しい限りだけど、お互い成長してまた違う場所で会えると思うと楽しみでもある。群馬でのご活躍、の前にまず運転免許を無事取得できるように祈っています。


3月29日(土)
久々に素晴らしい快晴。最高気温20度まで上がったらしい。昼11時に再びギルバート・スコットへ。UCLの同級生のショムションと韓国人の彼女さんと一緒に昼食。ショムションは無事にシェフィールド大学より博士を授与され、今日の夜の便でタイに戻るのだ。最後だが特に思い出に浸るでもなく、彼の研究のことや僕の最近の設計などについて楽しく話す。13時半ごろ、またバンコクで会おうと挨拶して別かれる。

話している間は何も感じなかったのだが、一人でバスに揺られていると2人で過ごした色々なシーンが蘇ってきてなんだか感傷的な気分になった。毎日学校が閉まるまで一緒にプロジェクトをやっていた時のこと。UCL周辺に安い定食屋がないのでUCL付属病院の食堂で頭のおかしな患者さん達と一緒に晩飯を食っていたこと。寮でしょっちゅう一緒にお好み焼きを焼いていたこと。博士の受験に失敗し、失意の中バンコクに帰っていった彼の姿。僕が日本に帰る途中にバンコクに遊びに行って、2人で色々な場所を回ったこと。無事博士過程に合格し英国に帰ってきたものの、彼はロンドンではなくシェフィールドに行くことに当初は大きな戸惑いを覚え、ロンドンの僕の家に住みながらなんとかシェフィールドに通えないか検討していたこと。2011年3月11日の早朝に「家族は大丈夫か?」という彼の電話で目が覚めたこと。夏休みに二人で海辺の町へ小旅行したこと。最初は面白くないと嫌っていたが、最後はゆったりした地方都市の生活を大変気に入ってきたこと。などなど、7年間の色々な風景がランダムに目に浮かんだ。

親友と呼べる友人がまた一人遠くに行く。寂しいが、悲しいわけではない。どうせまたすぐ会えるんだから。世界は広いが、僕達はどこへでも行ける。


2009年 バンコクにて

昼からはRIBAの本屋で色々本をめくる。ついに出版されたズントーの作品集がすごい。これは買わねば。お茶してから会社で作業。18時半ごろ腹が空いたのでTakさん市内にいないかなと電話すると、丁度中華街でレストランに入ろうとしているとことだったらしい。合流して食堂「人民公社」にて夕食。ここは辛いがとても美味い。
20時にKings CrossのパブThe Parcel YardにてAiさんの送別会。彼女は東京デビューを志しているとの噂があるので、男衆で全く役に立たないアドバイスを色々したりして楽しく過ごす。日本でも頑張って下さい。

3月30日(日)
朝は家の掃除をし、13時にHampstead HeathでTDさんとお会いする。僕の大学の後輩のかなみちゃんの友達で、一週間前からロンドンにやってきた。これらら2年間ほど働きながら色々勉強していく予定とのこと。公園そばのFreemasons Armsというパブで昼食を摂っているとTakさんがやってきたので紹介する。食後は3人でハムステッド、カムデン、プリムローズヒルを歩き倒し、夕食はチョークファームのタイ料理。楽しい散歩だった。


建築家・ホプキンスの自邸を発見


プリムローズヒルからのロンドンの夜景