ハムステッドと風立ちぬ

昨日ノッティングヒルの仕事の提出を終え、少し時間が出来たのではないかと思う。

しばらくブログを書いてないと続きを書きにくくなってしまう。その間にあったことを書かなかったら、なんだかその間のことが自分の人生にとって重要ではなかったかのように思えてしまうから。自分にとってはどの瞬間も大事なのだけど。とはいえ、書きたくなったときに書けることを書いておいたほうが良いと思うので、今日のことを。

いつのまにか今日で31歳になりました。30代の自分なんて昔は想像したこともなかったのだけど、月日は容赦なく僕をおっさんにしていきますね。このままだとどこにも行けないまま消えていくのではないかと不安になってしまうなあ。そしてそれは、恐ろしいことに多分事実なのだ。

朝10時くらいに起床し、アラヤ夫妻からハムステッドに散歩に行かないかとお誘いを受けたので、一緒に快晴と大雨が交互に訪れる変な天気のなか公園を散歩。公園内にあるケンウッドハウスのカフェで昼食をとっていたらTakさんが合流。食後に改修が終ったばかりのケンウッドハウスを見学。ターナーをはじめ有名な画家の絵が普通にかかっていて驚いた。ハムステッド市内に戻り、カフェでお茶。美味しいケーキとお茶だったが、ガツンと腹に来るヘヴィーなお茶だった。

4時過ぎに解散し、僕とTakさんは予約していた駅前の映画館で昨日から英国で公開された「風立ちぬ」を鑑賞。素晴らしい映画だったと思う。これを書いてる今、もう観終ってから5時間くらい経つのだけど、まだ心が震えている。あんな名作に僕みたいなもんが何を言っても蛇足の極みだと思うけど、とても感動したので思ったことを2つだけ書いておく。

まず、宮崎さんが初めて実在の人物を扱ったとか、ゼロ戦の設計者だとか、色々な付加価値のほうが先行してしまってたけど、中身は本当にシンプルでストレートな愛の映画で良かった。あれだけ多様なテーマを持った映画を作ってきた人が最後に選んだテーマは、戦争の是非や善悪でといった話ではなく、愛だったわけだ。可愛らしいことこの上ない。そして、設計者って格好良いなと思った。それはもう完全に。春樹が言ってたけど、仕事とは本来は愛の行為であるべきなのだ。便宜的な結婚のようなものではなく。ジャンルも違えばレベルも天と地ほど違うのだが、それでも紛いなりにも堀越さんと同じような土俵に立っているだけで誇らしく思える。

映画が終ってからは2人でセンターに出て夕食。POLPETTOという事務所近くの小さなレストランで、とても美味しい食事とワイン。良い一日だった。