週末2つ分

また時間があいてしまった。

2月21日(土)
昼から市内にあるWalkie Talkieへ。この建物のファサードは緩やかな3次元の曲面を描いているのだが、それによって太陽光が絶妙に集中し、昨年の夏に建物の前に停めてあった高級車が融けるという事件が起こって大評判となったため、今は南面はルーバーで覆われている。設計者はRafael Vinolyという建築家だが、彼はアメリカでも数年前に同じような曲面ガラスの建物を設計し同じように車を溶かしている。いわば車焼きビル専門の設計者だ。

完成したばかりの屋上庭園へ登る。ここは予約制だが無料なので良心的。でもテロ対策でセキュリティが非常に厳しく、入り口で写真付きのIDの提示を求められ、予約したときの名前と同じ人物か確認される。Takさんと一緒に空港みたいなセキュリティを潜り抜け、35階でリフトを降りるとテムズ川に向かった絶景が広がる。外観は好きじゃないけど、屋上庭園は大変良かった。無柱大スパンのガラス天井はとても気持ち良く、ふわりとする空間だった。

屋上のカフェでTakさんとお茶を飲む。目の前にはレンゾ・ピアノ設計のShardの上部が見える。この建物は本当に不思議で、天気によって見え方が全く違う。お茶を飲んでる最中も雲の流れによって白く見えたりプリズムみたいに不思議な青に光ったりしていた。

大満足で屋上庭園を後にし、バラマーケットにてお昼を食べに向かう。Shardの下にはミニShardと呼ばれるオフィスがあり、ここも同じようなファサードなので多分レンゾ・ピアノの設計だろう。単純な曲面の建物だが、細かいガラスが僅かに傾いて配されているのでとてもデリケートな表情をみせている。

マーケットで僕はパエリヤ、Takさんは鴨のハンバーガーを齧りつつオリーブオイルを物色。店員さんと話しながら色々試飲してみて、僕はTakさんお勧めの白バルサミコ酢とシンプルな味のオリーブオイルを購入。

BOND STREETに移動し、Takさん先導でキッチンメーカーのショールームを色々と訪問。個人的にはGAGGENAUの冷蔵庫が凄すぎて感動した。世界で一番良いキッチンメーカーのひとつのようだ。

ところで日本にはIntegrated Fridgeがないって話を聞いたんだけど本当なのだろうか。Integrated fridgeというのは扉のパネルを自由に付け変えれる冷蔵庫で、それによって写真のようにキッチンユニット全てを同じパネルで覆うことができ、空間に統一感を与えられる。

冷蔵庫だけではなく食洗機のパネルも付け替えることが出来るので、キッチンにおいてある全て同じパネルで覆うことができる。これは別に高級なシステムではなく、こちらではIKEAの安い冷蔵庫だってこれが当たり前なのだが、それができないのだったら日本の建築家とかインテリアデザイナーはどうやってキッチンをデザインするのだろうか。いくら綺麗なデザインを作っても、そこにダサい冷蔵庫を置いたらもうそれで空間が終ってしまうと思うのだが・・・。

22日(日)
昼からYukoさんGoくん夫妻の家へ。12人くらいで手巻き寿司パーティー。美味しかった。

写真:R. Nagasaki

2月28日(土)
ビスポーク・テーラーをしているHRNさんが誘ってくれたので、朝10時からSavile Rowの生地屋さんHolland Sherryへ行ってみる。ここは高級スーツの生地を作っている会社らしいのだが、今日は端切れを格安でセールしていたのだ。プロの人たちに混じって物色。HRNさん曰く僕の体格だと1.8mあればジャケットは作れるとのことなので、折角なのでシンプルな生地を購入してみる。近いうちにジャケットを仕立てたい。

店を出てHRNさんと奥さんのJNYと一緒にLiberty近くのFlat Planetでお茶。テイラーの仕事について色々話を伺う。HRNさんの作る高級スーツはミシンを使わず基本的に全て手縫いで作るらしいのだが、日本流の繊細な縫い方をすると、こちらでは「ミシンで縫ったんじゃないか」と思われてしまうので、あまりキッチリさせすぎずに作るようにしているのだとか。お茶のあとで折角近所なのでウチの会社を案内する。2人とも建築事務所を訪れたのは初めてのようで、大量の模型でゴミ溜めのようになっている弊社でも興味深そうにみてくれていた。僕の関わっている仕事などいくつか紹介し、14時ごろ解散。

2人と別れてから僕はRIBAのBookshopで色々本をみてまわり、ずっと買おうか悩んでいたPeter Zumthorの作品集をとうとう購入。150ポンドと高級だが、はるかにそれ以上の価値がある。眺めているだけでうっとりする美しい作品達が納まった美しい作品集だ。

充実の週末

2月13日(金)
19時にあがりKings Cross近くのレストランTEDへ。ヤナギ姉さんの誕生日を祝って10人で食事。はじめて来たレストランだけどなかなか良かった。

食後はいつものパブParcel Yardで月例の飲み会。建築関係だけじゃなくアート系など新しい人が何人もいて、皆と話ができなかったのが少し残念。例のごとくパブの外で最後の記念撮影をしたが、よく見たら端のほうに完全に知らない外人が混ざっている。

2月14日(土)
朝9時頃起床。昨夜ボチボチお酒を飲んだのでちょっとダルい。13時にプリムローズヒルのイタリア料理RESTAURANT Jへ。小さいが天窓があって気持ち良いレストランでTakさんとTKSGさんと食事。初対面のTKSGさんはチェルシー大学でテキスタイルを勉強している一年生。どのような作品をどうやって作っているのか、将来の仕事のことなども色々話す。

16時半に解散し、彼女に薦められたサーペンタイン・ギャラリーの展示を見に行ってみる。
Julio Le Parcというアルゼンチン生まれの芸術家で、Op artとkinetic artのパイオニアの一人のようだ。恥ずかしながら全く知らなかったが、単純な装置から生まれる光と影の幻影で客を魅了する素晴らしい展示だった。


大満足で会場を後にし、Takさんと一緒にNagomiで水炊きを食す。旨し。

2月15日(日)
朝8時15分にVictoriaのスタバに集合し、9時発のバスでBicester Villageへ。高級ブランドが並ぶロンドン郊外の有名なアウトレット。丁度冬物が入れ替わるシーズンだからかもしれないが、ほぼ全商品が3−5割引になっている。Polo、Hackett、Smythson、Penhaligons、Zwillingなどで買い物。

僕の欧州生活の大きな悩みの一つは服のサイズがないことなのだが(Sでも大きすぎる)、ついに解決法を発見。子供用のLサイズがぴったりなのだ。4,5歳児に試着させるお父さん達に混じって「甥っ子へのお土産はどれがいいかな」という風を装いながら物色し、人目を憚りながらこっそり試着している31歳。背に腹は変えられん。Burberryのコート(14歳児用)を買おうか悩んだが結局見送った。BurberryはHackneyにもFactory Shopがあるようなので今度行ってみよう。もちろん見るのは子供用品だ。

簡単に昼食を摂ってからTaxiを使って30分ほどのところにある世界遺産BLENHEIM PALACEへ。戦時中の首相ウィンストン・チャーチルが生まれ育った城だ。王室や国も持ち物でなく、個人所有の城として唯一「Palace」という称号を許されている建物だけあって、非常に豪華で優雅な邸宅だった。短命に終ったイングリッシュ・バロック様式の建物で、建築家Sir John Vanbrughの代表作の一つとされているが、どうやら彼はクライアントと大変な喧嘩をしていたようだ。

城の持ち主は初代Marlborough公爵John Churchillなのだが、将軍であった彼は戦争の為しばしば居城を留守にしたので実質的なクライアントは彼の奥さんになっていた。この奥さんが当時としては珍しい倹約家で、無駄な装飾を省いた居住性の高い邸宅を希望した。すべてが装飾で成り立っているようなバロック様式の最高傑作を作ろうとした建築家Vanbrughとは当然のごとく大喧嘩になり、最終的にVanbrughは仕事から外されてしまった。結局建物は彼の元同僚の監修のもと完成したが、完成記念式典に参加しようとしたVanbrughは敷地にすら足を踏み入れることを禁じられてしまったようだ。

そんな悲しい歴史もあるようだが、今となってはすべてが美しいクリーム色の石の下に埋もれてしまっている。

屋敷の中ではたまたまAi Wei Weiの展示が行われており、各室に彼のアイロニカルな作品が紛れ込んでいる。アンティークな壷にCoca Colaと書いてあるだけでも面白いが、よく見ると左はCao ni ma。広東語で"fuck your mom"という意味らしい。

メインホールにある巨大シャンデリアは普通に綺麗だった。彼は政治的な作品だけでなく、時折こういう普通に良いモノを作るから見ていて楽しい。

不満足の中に

週前半の仕事はバターシーのプロジェクト。水曜にクライアントとミーティングがあり、既存建物を残して増築する案2つ、一部を取り壊して増築する案1つ、完全に新しくする案2つの5つのオプションを披露。普通に既存建築の上に一階分増築するだけのつもりだったクライアントは大変驚いていたようだが、とても面白がって貰えた上、経済的にもそのほうがメリットが大きいことを分かって貰えた様子。「中古車を買いに車屋に相談しに来たら、新車のシートの新しい皮の匂いを嗅いでしまったようだ」と笑っていたが、なかなか良い例えだ。

水曜からはベネチアの仕事に戻る。毎週のように違う仕事をやっているので、一体何個の仕事に関わっているのか自分でもよく分からない。重宝されている気がする一方、何でも一人でやってしまう便利屋のように扱われている気もするが、まあポジティブに捉えてやっていくしかないだろう。

自分が作った案をベースにテンダーの図面が描かれているが、デザインがまだ突き抜けたものになっていないので、それぞれの要素を格好良いエレメントにしていくスタディ。無駄を省きつつプロポーションを整え、異なる素材のコンポジションを強調することでキッチンはなかなか格好良いものになったが、他の部分がイマイチ難航。かっちょいいキッチンができた瞬間は「俺って天才かも」と一瞬だけ思ったのだが、他の部分をいくらやってもうまくいかないので、最近は「俺って生きている意味あるのかな」と思っている。ぶはー。

ここ最近、インターンの問い合わせが多くて不思議な感じ。2006年に渡英してから9年になるが、現首相の国際感覚に欠けた発言によって引き起こされた悲劇や、日中韓の不毛な諍いを聞くたびに、日本社会が閉塞的になってしまっている気がしている。海外に行く日本人留学生も随分少なくなっているという話も聞くが、日本が貧しい国になりつつあるという経済的な側面はあるものの、それ以上にこの鎖国的、閉鎖的なメンタリティが作用している気がして個人的にはちょっと心配している。

そんな中で、若い学生が海外で学ぼうという意思を持っているということを聞くと嬉しいし、僕にできるだけのお手伝いはしたいと思う。別に海外に出ることが偉いとは全く思わないが、少なくとも新しいことを学ぼうという姿勢は大事だろう。

満足は不満足の中に求むべし、休息は進歩の中に求むべし、安心は力行の中に求むべし。

テニス

2月8日(土)
朝9時前起床。部屋の掃除などをして昼過ぎにFinsbury Parkへテニスに。今日は僕が予約したのだが、旅行に言っている人が多く参加者はS君のみ。2人で練習してたら僕達の前にプレイしてた人たちが「ダブルスやらない?」というので初めて試合形式でやってみる。僕が下手なせいで負けてしまったが、楽しかった。その後は小中学校と硬式テニス部だったS君の熱血指導の下、フォアとバックのライン際の動き、ボレーの動き、サーブなど一通り練習。最後はバテてしまったけど少しは分かってきた気がする。パブで一緒に昼食とビールを飲んでから16時前に帰宅、昼寝。

現場

2月7日(金)
寒い日が続いている。そういえば数日前はとうとう雪が降ったんだった。

家の前の教会も雪化粧

朝は台湾の雑用をこなし、夕方は中国のスタディ。昼過ぎにSくんを住宅の現場へ連れて行く。日本では数百年前の住宅の改装なんてまずないので、良い経験になるだろう。本当は現場を担当しているJに解説してもらうのが一番なのだが、彼はここ数週間最後の追い込みで忙しそうなので僕が案内する。建物自体がListedされて文化財に近い扱いを受けているので、メインの部分はほとんどイジれないのだが、裏庭の増築部分は規制がかかってなかったのでここは現代建築にしている。なかなか良い感じにできてきた。

Swim

2月2日(月)
昼から東工大のSくんが会社に見学にやってくる。彼はインターン先を探しているとのことだったのだが、僕としてはどうせ無給で働くならウチみたいなしょーもない会社ではなく、もう少し有名なところで働いたほうがいいのではないかと思っていたので、あまりわが社をお勧めはしてなかったのだが、まあとりあえず一回見学にでもということでやってきたわけだ。一通り会社の仕事を説明したあと、彼が帰る前に「ポートフォリオ置いていっていいですか?」と言うので、折角持ってきたんだったらとボスを呼んできて2人で作品をみる。予定外になんか面接みたいになってしまい、結局そのまま明日からインターンすることに。「本当にウチでいいの?」と聞いてしまったが、本人はやる気なようだ。良い経験をさせてあげれたら良いのだが。

2月3日(火)
明日がミーティングなので忙しい。Sくんが昼からやってくるが、あまり面倒もみれず資料製作に追われる。22時半くらいに帰宅。夕食はマック。

2月4日(水)
昼からプランナーとミーティング。実務のミーティングを聞くのも勉強になるだろうと思ったので、ボスと話した上でSくんも同席させる。夕方はレポート作成に没頭し、20時くらいに完成。ドラフトをボスに送って帰宅。夕食は鶏とアスパラガスとキノコの照り焼き。

2月5日(木)
台湾の仕事に関する雑用に追われる。どうせ誰も見ないであろう資料を作るのは何ともいえず物悲しい気分になるが、まあこれも仕事のうちだ。金貰ってるんだから文句は言えん。夜はSくんも連れてOld streetのLifeへ。アキラさんの誕生日会で、大勢の人でごった返していた。23時前帰宅。あと一日頑張ろう。

寒い日が続く

1月28日(水)は19時に仕事をあがりAndrew Edmundsへ。アラヤさん、ショーゴ、ミカさん、リカさん、平野さんと奥さんのジェニーという7人で食事。美味しいワインとご飯。

木金は仕事を頑張る。一応ミーティングで最低限必要なものは揃ったが、模型作業などが少し残ってしまう。

1月31日(土)
昼前に出勤。模型を進める。夜はセンターに出てきていたTakさんと合流し、割引券を持っていたCha cha moonへ。しばらくして仕事あがりのノガミさんも合流し3人でご飯。ノガミさんが見たことないというWhite Cube Mason's Yardへ案内し、近くのホテルThe Cavendishのロビーでお茶。ここは相変わらず静かで落ち着いていて良い。

2月1日(日)
朝10時前に家を出てChiswick Car Boot Saleへ。ムチャ寒いし店が少なく残念。でも3個ほど買った。手前の3つが今日の戦利品。(わがまま猫は違う)

すっかり冷えてしまったので暖かいものを食べようとSohoのフォーでフォーを食す。勘定を済ませて店をでて5分ほどして財布がないことに気づき焦って店に戻る。スタッフの人が回収してくれていたので事なきを得る。ふぉー
会社で少し作業してから夕方帰宅。

こないだ買ったほうれん草が余っていたので夕食はほうれん草と鳥もも肉の卵とじ。あと鶏肉ときのこの炊き込みご飯も作った。これで一週間乗り切ろう。