平日の仕事は相変わらず模型製作。水曜はボスと一緒に就職希望者の面接をしたけど、ちょっとイマイチだったな。ポートフォリオは綺麗なのだけど、あまりプロジェクトが面白くない。僕達は一応プロなので表面上だけ綺麗に繕っても中身がないとすぐ分かる。人間的には誠実そうなのだけど、もうちょっと強い人が欲しいので見送ることに。

あと去年チューリッヒに作った小さな喫煙所がWallpaperという雑誌に掲載されたので、木曜の夜にWallpaper主催のパーティーに行ってきた。2平米の小さな物件だけど、面白がってくれる人がいるというのはありがたいことですね。日本でも現在販売中だと思うので、もし店頭で見かけることがあれば手にとってみてください。

金曜の夜はKings Crossの飲み会。今までは建築関係者ばかりだったけど、今回から少し範囲を広げてデザイン・クリエイティブ全般の人との交流会にするとのことなので、先日知り合ったHenry Pooleでスーツを作っている平野さんを誘って一緒に行ってみる。彼は相変わらず素敵なスーツをビシッと着こなしており、スーツ作りの話しを聞いていると試着させてくれた。タイトな服は大抵肩周りが張るのだが、彼のスーツは驚くほど肩が軽い。肩布を限界まで強くするなど色々細かいテクニックがあるようだ。いずれは一着彼に作って貰いたいなぁ。20時に着いたときは全部で5人ほどの小さな集まりだったけど、時間がたつほど増えて最後は30人近くになっていたと思う。

家にテレビがないので基本的にニュースはみていないのだけど、ここ最近嫌な話を色々聞いて少し気が滅入る。

フランスの風刺週刊誌が襲撃されたけど、あれはなかなか根の深い問題だと思う。表現の自由という話だけでなく、人種や宗教、文化の違いにも触れる問題だから。もともと欧州では何百年も前から風刺画の文化が根強く発展しており、この雑誌だってイスラムだけでなくキリスト教にも痛烈な風刺画を描いているようだ。教皇がコンドームを持ってる絵とかね(カソリックは建前上は避妊を悪だとしている)。社会が抱える様々な問題を笑いに昇華することで、ある種の救いにしてしまおうというのが風刺のコンセプトだろう。

まあとはいえ、当たり前のように使われている「表現の自由」というのはそもそも西洋世界が勝手に作って信じているだけで、イスラム世界には存在しない。むしろ彼らにとっては「ムハンマドを描いてはいけない」というのが絶対的な信念なわけだ。これでは平行線を辿り、宗教戦争の様相を呈するのは仕方ないことだろう。

僕がどちらが正しいのかは分からないし、そもそも結論などはないのだろうけど、とりあえず映画の台詞が思い浮かぶ。

「人を殺すのは間違っている。そこにどのような理由があろうとも」
(デッドマン・ウォーキング)